2009年10月30日金曜日

ディテール:ちひろ美術館02


同じくちひろ美術館 長野。
内部巾木の納まりです。床:地元産カラ松板 と 壁:たぶんフッコー系土壁掻き落とし仕上げとの接線(巾木)に、先付けされたスチールの入巾木がきれいに納まっています。コーナーも面取りされ、上部はすこしめくれた様に加工されていて、土壁がうまくおさまる様に工夫されています。
ディテールは建築にとって極めて重要な本質である事は承知していながら、コストとのせめぎ合いで常に切り捨てられ、いつしかそれが思考さえされなくなりつつある、自分の今の設計スタイルを修正し、新たな地平へのスタートを誓います。

ディテール:ちひろ美術館


長野いわさきちひろ美術館 設計:内藤廣先生
外部鉄骨柱の柱脚部:柱は等辺山形鋼をフラットバーを挟んでシンプルに4つ組み合わせた、ミースのバルセロナパビリオン状形状です。柱を単に丸石洗い出しコンクリート平板に埋め込むのではなく、側溝と組み合わせ、丸い砂利で覆うことにより、固いもの同士が柔らかく自然に接続される様工夫しています。砂利部は柱部分にあるので歩行にじゃまにならず、側溝としての水はけも良い、とても美しい納まりです。

2009年10月27日火曜日

材料研究:古材利用


正田ギャラリー内部の様子。設計・監理:正田 亨 氏
なぜ、人は古材に魅力を感じるのか?汚れ傷つき、ササクレだった材料を、丁寧に清掃し組み直す事で、物質は蘇る。この『気持ちの変化』現象は木材に限らず、エコロジーの本質に迫る人間の面白い特性である。組み直す行為は手間がかかり、結果費用がかさむ事になるが、この辺がうまく解決出来れば地域景観と絡めて、新たな産業として芽吹くことが出来るかもしれない。構造材ではない所から徐々に始めてみよう。と思っています。

2009年10月22日木曜日

材料研究:建具 無双窓


無双窓:幅のある縦格子2枚を組み合わせ、左右に動かす事で開閉を自在にした窓付扉の事。店舗で実施した例です。上下2段に組み込み、中の見せ方を変えられる装置です。材料はピーラ(松)を使い、丁寧に施工頂きました。建具全体は吊り戸とし、床にレールが出ず、大変軽くスムースに動きます。

2009年10月21日水曜日

T邸 内部壁


内部壁は概ね『下地仕上げ』になっています。構造用合板と柱・間柱が表しとなるので、各構造材はプレーナー仕上げとし、印刷面を外部側にする等、色々注意しながらの施工となります。建主の『にせもので隠す』事をやめ、物質そのものを表したい。というある意味哲学的な思考の結果の意匠です。

2009年10月20日火曜日

T邸 外構フェンス工事


漸く足場が取れ、建物が見えてきました。本日は外部フェンスの鉄筋設置工事。T邸はコストが厳しい計画ですが、様々な新たなチャレンジを建主と共に実施しています。フェンスは鉄筋を鳥の巣上に配置し、ツタ棚として目隠し効果を狙います。鉄筋は敢えて錆びさせますが、充分に太い物を使用することで耐久性を確保しています。見栄えの良い様に配筋を検討し重なり具合も調整しました。極めてローコストで意匠上もCoolなフェンスが出来上がります。

2009年10月19日月曜日

松井田S邸 リフォーム 竣工写真01

昭和38年に新築された建物の断熱+内外装の改修工事。外壁、天井を剥がし厚い断熱材を入れ、土間にコンクリートを打設し外側基礎断熱とし、床・壁・天井を新たに設置。さらに、開口部ガラスを全てペアガラスに変更し、床下には蓄熱型暖房機を設置している。風呂・洗面・トイレも新しくし、アプローチからバリアフリー化を実施しました。予算的に厳しい条件でも、建主様の努力でどうにか形となり全貌が現れて来ました。徐々に工事状況をUPしたいと思います。宜しく御願いします。
トイレと一体となった洗面・脱衣室。トイレ・洗面。風呂の水回りは寝室及び廊下側から出入り出来、高齢の御施主様に使いやすい形状になっています。手摺を随所に配置し、明るく暖かく、快適な水回り空間としています。
廊下:既存のトップサイドライトを活かし、美しく蘇った各室。左開口部上部には、新たに梁を増設しています。

2009年10月17日土曜日

T邸新築工事 外断熱工事


外断熱の様子。屋根・外壁・基礎共に外断熱仕様としています。屋根外断熱は庇を設けると2重垂木となってしまうため、T邸では庇を設けず1重垂木として外壁側断熱材と一体化としています。

注意すべきは、一部庇が出ている部分。垂木を一体化せず断熱材のために縁を切り、方立で支える構造としています。また、この部分は通気を取りながら入念にウレタン発泡材で隙間を塞ぎ気密を取っています。外断熱は各所この様な綿密な施工チェックが必要で、他社がきちんと施工確認しているか疑問です。

情報箱 始めます。

建築に関する情報を厳選しオープンネットワーク化します。建築中の現場写真から、科学的知見による、耐久性や構造、エネルギー、使い勝手など、様々な確信を書きつづり、より完成度の高い建築を目指すための情報箱にします。